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青空市場の犬
戦後からと思える市場があります。
年々収縮して、今ではほんの数件が軒を並べるだけのそれは小さな市場。
そのあたりにふらりとやってくる犬がいます。
市場だけではなく、その周辺の店の人たちは、
この犬がやってくるとエサを与えたりして可愛がるのです。
なんとなく気に掛かるこの犬は聞くところによるとこの辺りに住んでいたようなのですが、
現在は数キロを隔てた団地が住まいです。
ところが、毎日のように市場に出勤してくるのです。
最近はなぜか見なくなってしまったこの犬。
今はどうしているのでしょうか?
かじられた月
空を見上げました。
とても寒い夜です
月はちょっとへこんだ形です。
いつか甥に作ってあげたイヴとナナと甥の冒険物語。
ナナがかじったお月様はあれでしょうか?
凍った空に凍ったお月様。
ナナの歯形が見えました。
喜怒哀楽
悔しい話は厳しい顔をして
悲しい話はティッシュを片手に、
うれしい話は口の端を吊り上げて、
幸せな話は目を細め、
いろんな顔で書いている。
交通事故
動物病院の待合室に座っていました。
そこへ慌ただしく子犬を抱いた女性が駆け込んできました。
ラブラドールの子犬が交通事故に会ったのです。
空気は一気に緊迫したものになりました。
しばらくして、その女性は子犬を抱いて診療室から出てきました。
だめでしたと一言。
子犬の両目はテープで閉じられています。
生きているかのようなその子。
獣医さんの話によれば、飼い主の全くの怠慢。
たった三ヶ月の子犬を家の外に放し飼いにしていたようです。 今度、生まれ変わったら、素敵な飼い主さんに貰ってもらうのよ。
さあ、天国に行ってらっしゃい。
少年と犬
散歩の帰り道、犬を連れた少年に会いました。
でも、彼の手には何もなしです。 ビニール袋持ってる?
いいえ。
私のを貰ってくれる?
はい。 少年はにっこりとビニール袋を手にしました。
買うということと飼うということ
犬を迎え入れるにはお金が要ります。
犬と生活するには心が要ります。
新聞に載った犬
土佐犬が飼い主の女性を襲って死なせました。
新聞やテレビでも報道されたこの悲しい事件は、
私にも少なからず影響があるような気がしてなりません。
犬の散歩中、下校する小学生の集団に出会います。
家庭や学校でも土佐犬の事件が話題に上ったのでしょうか?
殊更に悲鳴を上げて避ける子供達もいます。
ラブラドールは決して人を襲うように作られた犬ではないのです。
明日はナナにお花のカゴを持たせて歩くことにしましょうか。